「辞めたいと言ったら『罰金10万円』と言われた…」。そんな言葉を突きつけられると、心臓がぎゅっとなって、もう逃げ道がない気がしてしまいますよね。でも、まず深呼吸してみてください。勤務先から言われた「罰金」は、あなたが思っているほど怖いものではないことが、ほとんどなんです。落ち着いて状況を整理し、自分を守る手順をお伝えします。

「辞めるなら罰金」は基本的に払う義務がない

日本の労働基準法には、働く人を守るためのルールがあります。そのひとつが、あらかじめ「辞めたら罰金」「遅刻したら○円」といった金額を決めておくことを禁止する考え方です(労働基準法16条の賠償予定の禁止)。

  • 勤務先が一方的に決めた「退職の罰金」は、原則として支払う必要はありません
  • 「シフトに穴をあけたから」という理由でも、決められた罰金をそのまま払う義務はありません
  • 給料から勝手に罰金を天引きすることも、基本的に認められていません

つまり「辞めるなら罰金」という言葉は、あなたを引き止めるための脅し文句であることが多いのです。

覚えておいてほしいのは、あらかじめ決められた「辞めたら罰金」は法律上ほぼ無効だということ。怖い言葉に、あなたのこれからを縛らせなくて大丈夫です。

「違約金」「損害賠償」「研修費の返還」と言い換えてくる場合も同じです。たとえ自分でサインした書類でも、法律に反する内容の条項は無効になることがあります。「サインした=絶対に払う」ではありません。実際に損害が出たと言われても、勤務先が損害の内容・金額・因果関係を正式な手続きで証明しなければならず、多くは口頭の脅しで終わります。一度払うと「認めた」と受け取られ請求が続くことがあるので、払う前に必ず相談しましょう。

辞めるときに落ち着いてやっておきたいこと

感情的にぶつかると相手のペースに巻き込まれがち。だからこそ、静かに準備を進めるのが自衛になります。

  • 退職の意思は、できれば文章(メッセージやメール)で伝えて記録を残す
  • 「罰金を払え」と言われたら、その場で払わず「持ち帰って考えます」と一度引く
  • 言われた内容は日付つきでメモし、やり取りのスクショを保存しておく
  • 契約書や誓約書にサインしている場合は、写真を撮って手元に控えておく
  • 給料の未払いがあれば、勤務日数や時間がわかるものを集めておく

自分が参加している会話をボイスメモで録音することは、一般的に問題ないとされています。「○月○日をもって退職します」という一文を文章で送っておくだけでも、それ自体が記録になります。

強く迫られて怖いと感じたら

「払わないと家に行く」「親に言う」「情報を広める」などと言われると本当に怖いですよね。でも、それは脅しにあたる可能性があり、あなたが我慢しなければいけないものではありません。

  • 身の危険を感じたら、無理にひとりで対応しない
  • 連絡がしつこい場合も、記録を残しながら専門の窓口に相談する
  • 「今から行く」と言われ物理的な危険を感じたら、迷わず110番に電話する

支払っても要求がエスカレートすることが多いので、応じる前に必ず相談してください。

困ったときの相談先

無料で、しかも安心して相談できる窓口があります。状況に合わせて使い分けてみてください。

  • 労働基準監督署:未払い給与や不当な天引き、労働条件のトラブルなどを相談できます
  • 法テラス(日本司法支援センター):無料の法律相談や、弁護士費用の立替えを案内してくれます
  • 警察相談専用ダイヤル #9110:脅しやしつこい連絡で怖いとき、どうすればいいか相談できます
  • 各自治体の女性相談窓口:生活や安全のことも含めて話を聞いてもらえます

全部揃っていなくても大丈夫です。「こういうことが起きています」と話し始めるだけで、相談員が一緒に整理してくれます。少しでも迷ったら、早めに相談してみてくださいね。