「遅刻したから罰金ね」「目標に届かなかったからマイナス」。そんなふうに、気づいたら給料がごっそり減っていた…という経験、ありませんか。納得できないけれど、勤務先に逆らうのも怖いし、なんとなく仕方ないと思ってしまう。その気持ち、とてもよくわかります。でも、知っておいてほしいことがあります。
そもそも「罰金」は勝手に引けないのが原則
働いた分のお給料は、あなたのものです。労働基準法では、給料は「全額」をその人に支払うのが基本ルールとされています。だから、勤務先が一方的に「罰金」として勝手に差し引くことは、原則として認められていません。
特に問題になりやすいのが、次のようなケースです。
- 遅刻・欠勤・当日キャンセルへの「ペナルティ」が、実際に減った分よりずっと高い
- ノルマ未達や目標未達成への「罰金」
- 制服代・備品代・送り代などが、説明もなく天引きされている
遅刻した時間分のお給料が引かれるのは「ノーワーク・ノーペイ」という考え方で説明がつくこともあります。でも、働いていない時間以上に上乗せして取られる「罰金」は、話が別だと考えておきましょう。
覚えておいてほしいこと。あらかじめ「○○したら罰金いくら」と金額を決めておく約束は、労働基準法で禁止されています。サインしていても、その約束自体が無効になることがあります。
「同意したから仕方ない」は本当?
入社時にサインした誓約書や同意書に「遅刻した場合は○○円を引く」という記載があったとしても、それだけで天引きが合法になるわけではありません。法律に反する約束は、たとえ本人がサインしていても無効とされる場合があります。「サインしろと言われてよく読まないまま書いた」という状況もよくあること。自分を責めないでください。
「同意書があるから問題ない」と言われても、その場ですぐに引き下がらなくていいんです。「確認したいので少し時間をください」と言って、専門家に相談する時間を取ることができます。
天引きが重なるとどうなる?
一回ひとつの「罰金」は小さく見えても、それが毎月積み重なるとかなりの金額になります。複数の項目が同時に引かれていると、手取り額が予想よりずっと少なくなってしまいます。天引きが積み重なって時給換算したとき、地域の最低賃金を下回っているようであれば、それはまた別の問題としても相談できます。「どうせ訴えても勝てない」と思わないでください。仕組みを知るだけで、次のステップが見えてきます。
あなたが確認できること
不安なときほど、まず手元の情報を整理すると落ち着けます。
- 給与明細をもらい、「何が・いくら」引かれたかを書き出す
- 明細がなければ、引かれた金額や日付を自分でメモしておく
- 契約書や同意書のコピー、メッセージのやり取りのスクショを残す
- 「これは何の天引きですか」と、勤務先に一度確認してみる
最低賃金法という法律もあり、天引きの結果、時給が地域の最低賃金を下回るのも問題になり得ます。自分の働いた時間と金額を照らし合わせてみてください。
ただ、勤務先に直接かけ合うのが怖い、話が通じない、というときは無理をしないこと。一人で抱え込まず、次の窓口に相談するのが安心です。
勤務先に確認するときの伝え方
もし確認してみようと思ったときは、こんなふうに言ってみると、角が立ちにくいかもしれません。
- 「先日の給与明細に気になる項目があったので確認させていただきたいのですが」
- 「この天引きはどういう内容か、書面で教えてもらえますか」
感情を出さず、「情報を確認したい」というトーンで聞くことで、相手も答えやすくなることがあります。答えてもらえなかったり、「そういう決まりだから」と一方的に言われた場合も、その事実をメモしておいてください。それ自体が後の相談で役立ちます。強く言い返す必要はありません。「わかりました、少し確認します」と言って、その場を離れるだけで十分です。
困ったときの相談先
どこも無料で利用でき、あなたの味方になってくれる場所です。
- 労働基準監督署(労基署):給料の未払いや不当な天引きなど、働く上のトラブルを相談できます。勤務先の地域を担当する署へ。
- 法テラス:国が運営する法律相談の窓口。条件を満たせば、無料で弁護士に相談できます。
- 警察相談専用ダイヤル #9110:脅されている、怖い思いをしているなど、安全に不安があるときに。
- 各自治体の女性相談窓口:お住まいの市区町村や都道府県が設けている相談先。気持ちの面も含めて話を聞いてもらえます。
あなたが感じている「何かおかしい」という感覚は、間違っていません。その直感を大切にしてください。ここに書いたのは一般的な原則です。あなたの状況によって答えは変わるので、最終的には労基署や弁護士などの専門家に相談してみてくださいね。あなたが正当に受け取れるお給料を、あきらめなくて大丈夫です。