うっかり会社の備品を壊してしまった、預かっていたものを失くしてしまった。上司から「全額弁償して」と言われて、頭が真っ白になったことはありませんか。ミスをした申し訳なさから、言われるまま全額を払おうとしてしまいがちですが、労働者が負う弁償の範囲には法律上の考え方があります。
全額弁償が当然に認められるわけではない
- 仕事中のミスによる損害は、働くうえで一定程度起こりうるものとされ、使用者(会社)にもリスクを負う責任があります
- 裁判例では、労働者の故意や重大な過失がない限り、損害額の一部だけしか請求が認められない傾向があります
- 「就業規則に全額弁償と書いてある」というだけでは、その通りに支払う義務が当然に生じるわけではありません
弁償額を判断するときの視点
- ミスの程度(うっかりミスか、故意・重大な過失か)
- 会社側の管理体制(マニュアルや研修が十分だったか)
- 損害の内容と、業務上どうしても起こりうるものかどうか
覚えておきたいこと。損害賠償の金額は「言われた金額をそのまま払う」ものではなく、状況に応じて減額される余地があります。納得できないまま安易にサインしないことが大切です。
求められたときにやっておきたいこと
- どんな経緯でミスが起きたのかを自分でも記録しておく
- 「全額弁償」の合意書や誓約書には、その場でサインせずいったん持ち帰る
- 給与から一方的に天引きされている場合は、それ自体が違法な可能性があるため確認する
一人で抱え込まず、まずは状況を整理して相談することから始めましょう。給与から天引きする形での弁済は、労働基準法で定める賃金の全額払いの原則に反するおそれがあり、たとえ本人が同意していても違法になるケースがあります。分割払いにする場合も、金額や回数について書面で合意内容を残しておくと安心です。
困ったときの相談先
- 労働基準監督署:給与からの天引きや不当な弁償請求について相談できます。
- 法テラス(日本司法支援センター):無料の法律相談の入り口になります。
- 各自治体の女性相談窓口:働き方やお金の悩みを幅広く相談できます。
- 警察相談専用ダイヤル #9110:脅されている、身の危険を感じるときの相談先です。緊急時は110番を。