「サインしてしまったけど、やっぱり納得していない」「脅されるような雰囲気でハンコを押させられた」――そんな気持ちを抱えていませんか。一度サインした契約でも、状況によっては取り消したり、無効を主張したりできる場合があります。諦める前に、一緒に確認してみましょう。
契約を取り消せる場合がある
民法では、次のような状況でサインした契約は、後から取り消しを求められると定めています。
- 詐欺:重要なことについて嘘をつかれてサインさせられた場合
- 強迫:脅されたり、断れない状況に追い込まれてサインした場合
- 錯誤:内容を大きく勘違いしたままサインしてしまった場合
また、民法とは別に、不当な勧誘方法があった場合に取り消しができる消費者契約法という法律もあります。
「サインした以上、もう終わり」ではありません。どんな状況でサインさせられたかが重要です。強引・脅し・嘘があったなら、専門家に相談してみてください。
どんな場面が当てはまるの?
- 「今日ここでサインしないと働けない」「みんなサインしてる」と急かされた
- 給料や勤務条件を口頭では「〇〇だよ」と言われたのに、書面には全く違うことが書いてあった
- 内容をじっくり読む時間を与えてもらえなかった、「読まなくていいから」と言われた
- 断りにくい雰囲気の中でサインさせられた
これらは、法律が「取り消せる」と認める可能性のある場面です。あなたが弱い立場にあったことを、法律はちゃんと考慮します。
クーリングオフは雇用契約には使えない
クーリングオフは、訪問販売や特定の商取引で適用される制度で、一般的な雇用契約・業務委託契約には適用されません。ただし、雇用契約には別の保護があります。
- 労働基準法に反する条件(罰金・賠償額の事前設定など)は、書面にサインしていても無効になる
- 「辞めたら○○万円払え」という違約金条項は、労働基準法で禁止されているのが原則
- 給与からの一方的な天引きも、原則として許可されない
「業務委託」と書いてあっても、実態で判断される
「業務委託だから労働基準法は関係ない」と言われることがありますが、必ずしも正確ではありません。実際の働き方が「シフトを指定される」「勤務先のルールに従う義務がある」「仕事の内容や方法を勤務先が決める」といった状況であれば、名目上"業務委託"でも、法律上は労働者として保護されると判断されることがあります。契約書の表紙に何と書いてあるかより、実際にどう働いているかのほうが重要です。
取り消したいときにやること
- 契約書の内容を手元に記録しておく(写真でもOK)
- 強引に迫られた場面があれば、日時・場所・言われた言葉をメモする
- メッセージのやりとりは削除せずに残しておく
- 「取り消したい」という意思を、なるべく文書で相手に伝える
一人で話し合おうとすると、また圧力をかけられる可能性があります。外部の専門家に相談してから動くのが安全です。相談窓口には守秘義務があり、あなたが「名前を出さないでほしい」と伝えれば、その意思は尊重されます。
困ったときの相談先
- 労働基準監督署:労働基準法に違反する契約内容について相談できます。
- 法テラス(日本司法支援センター):契約の取り消しや不当な条件について弁護士にアドバイスをもらえます。
- 警察相談専用ダイヤル #9110:脅されてサインさせられたなど、強迫に近い状況があった場合の相談先です。緊急時は110番を。
- 各自治体の女性相談窓口:仕事や契約に関する悩みも話を聞いてもらえます。
「もう遅い」と諦めないでください。状況によっては今からでも動けます。